脚本監督ともに冬島泰三、撮影は石本秀雄が担当している。北上弥太朗が本格的な主演として出演し、谷鈴子を相手役に、花柳小菊、喜多川千鶴、井川邦子、夏川静江、市川小太夫などが助演。
歌舞伎で知られた助六の色模様、絢爛三浦屋揚巻の道中姿に、モダン趣味のジャズソング。弱きを助け強きをくじく男一匹花川戸助六の物語。豪華キャスト陣で描く娯楽時代劇の白眉。
人間赤裸々の姿を、人の好い侠徒の世界に置いて眺めた大人の童話とも言うべき、諷刺と忍場を彩る東映の異色野心作。登場人物の総てが主人公であり見る者をまごころの世界にひき込む映画の抒情詩。
七つの顔をもつ名探偵多羅尾伴内久々の活躍。日本の財宝「片目の魔王」をめぐって次々に起きる連続殺人事件の謎。巧みな変装によって怪事件の真只中に飛び込み、得意の二挺拳銃を縦横に裁く、本格的探偵篇。
泥沼の中に咲いた哀愁の恋をめぐって登場する様々の人物を追いながら爛熟と頽廃のニ世相に喘ぐそれら人間像を一つの江戸市井風俗として描く、時代劇の新生面を拓く良心傑作篇。